小林弁護士が交通事故の分野で成果を上げました

 今般、当事務所の小林弁護士が、担当している交通事故の案件において、後遺障害非該当の結果に対して異議申立てをしてこれが認められ、別表第二・12級13号の後遺障害等級認定を獲得しました。

 一般に、事故による受傷から、真摯に治療に取り組んできたのにもかかわらず、その後も受傷部の痛み・痺れや可動域の制限などが残るということは、残念ながら、しばしば起こることと言えます。 このような場合、被害者としては、当然、加害者(多くはその保険会社)に対して、かかる痛み等についての慰謝料や、将来に渡る就労制限に対する補償を求めたいところです。
 そして、実務上、そのような慰謝料等の支払が認められるには、自賠責保険の支払基準を満たす必要、具体的には、「後遺障害等級」の認定を受ける必要があります。

 もっとも、この支払基準は、何らかの神経症状が残存する場合や、可動域制限がある場合の全部について、自賠責保険上の後遺障害に当たることを認めるものではありません。 また、身体の一部が欠損した場合など、容易に該当性を首肯できる事案もございますが、実際には、私どもにご相談をいただく事例のほとんどは、外観・画像等からは後遺障害の有無を容易に判断できないものになります。
 このため、被害者の方が現に痛みを訴えているのにもかかわらず、保険会社(実際に該当性を判断するのは自賠責損害調査事務所)から非該当の判断が言い渡されるということもございます。
 そして、その不利益な結果を甘受しなければならない場合もあるのが正直なところです。

 しかし、中には、弁護士として日々損害賠償事故実務と向き合っている私どもの目からしても、この事例で後遺障害が認定されないのはおかしい、と感じるときがあります。
 このような場合には、異議申立てをすることが必要です。

 異議申立ては、自賠責保険金の支払金額等の損害保険会社等の決定に対して異議がある場合に、これを争うための制度です。
 しかし、損害保険料率算出機構が2022年4月に発行した「自動車保険の概況(2021年度版)」によれば、2020年度に専門部会が審査した1万2307件のうち、等級変更が認められたのはわずか1911件に留まり、決定が覆る可能性は統計上約15%と、高いハードルがあることが判っています。
 これは、民事裁判の第一審判決に対して控訴し、控訴審において覆る可能性よりも統計上低い確率と言えます。

 上記のとおり、異議申立ての認容率は低いのにもかかわらず、冒頭にご紹介した事例では、幸い、後遺障害等級認定を獲得することができました。
 ポイントについて、小林弁護士に尋ねたところ、異議申立てに際しては、医療文献の調査、カルテやXP画像等の検査結果の洗い直し、かかりつけ医との打ち合わせ、事故態様・治療経過等についての詳細な聴き取り等の下調べを十分に行ったとのことです。また、上記の調査に基づいて、

① 当初の非該当の判断は、事故直後に短期間入院した医療機関の担当医が、自賠責調査事務所からの照会に応じて作成した回答書に依拠したものと言えるが、退院後の長期通院に関与していない医師が照会時点で作成した意見を最重要視することは不適切であること。
② 当該担当医は、別の医療記録では、後遺障害と認めるに当たり有力な所見を記載しており、この所見を無視して当該回答書の記載のみを取り上げることは、つまみ食い的な認定であること。
③ 後遺障害診断書を作成したかかりつけ医は、退院後の長期に渡る通院生活を通じて治療に当たってきたもので、その所見を尊重するべきであること。
④ 画像検査からは受傷の事実が客観的に所見されるし、被害者の主訴は医師の診断名となった傷病の典型的な症状と一致しており、治療経過を通じて整合的といえること。
⑤ 被害者は、現在も通院加療を継続していること。

等、当初の非該当の判断の問題点を明らかにした上で、後遺障害に該当する理由を詳細に述べたとのことでした。

 その後、一転して、第12級13号の後遺障害等級を得られるに至ったわけですが、保険会社から送付された書面には、かかりつけ医の元で行われた画像検査及び神経学的検査の結果が再検討されたこと、カルテに記載された神経学的所見の見直し等が行われたこと、被害者の陳述書に基づいて神経症状の経過が自然的であると認められたこと等が記載されており、小林弁護士の主張に沿う形で検討が進んだことが明らかとなっています。

 このように、後遺障害を認定されるためには、自賠責保険金の支払基準を理解した上で、医療文献の調査や医療記録の調査を尽くした上で、基準を充足する理由を説得的に展開する必要があります。
 この点、当事務所の小林弁護士は、弁護士登録の当初から交通事故の分野で研鑽を積んでおり、直近では別の事案でも非該当から第14級9号を獲得するなどの成果を上げています。
 また、当事務所の髙橋弁護士も、元々中部地方の大型法律事務所の交通事故専門チームに所属していた経歴があり、その経験を活かして、近時、一般に難しい場合も多いとされる高次脳機能障害による後遺障害等級認定を獲得するなどの成果を上げています。

 当事務所は、交通事故の受任に際して、事務員任せにすることなく、担当弁護士が直接事件記録を検討し、交渉することをお約束すると共に、安易な示談には応じず、加害者側の保険会社と粘り強く交渉して参ります。
 交通事故でお困りのお客様は、ぜひ、当事務所にお問い合わせをいただければ幸甚の至りです。